デザインと記憶
最近、デザインを見た人にどんな記憶を残したいのかを考えるようになりました。
上記のアップルのロゴ。多くの人はこのロゴを見た瞬間にアップルのことが頭に浮かびます。ただこの画像、お気づきの方もいるかもしれませんが、左右を反転させたものです。
それでも人がアップルのロゴだと気づくのは、かじられたリンゴ=アップルと認識しているからで、右側がかじられていようが、左側がかじられていようが関係ないのです。
記憶に残るのは重要な要素ひとつだけ
例えばこちらのサントリーの広告。見た人にどんな印象を持って記憶されるのでしょうか。
一概には言えませんが、「水を持っている宇多田ヒカルが写ってる広告」、極端に言えば「宇多田ヒカルが写ってる広告」、さらに言うと「女性が写っている広告」として記憶されるのではないでしょうか。水の広告とは覚えてはいないけど、宇多田ヒカルが写っていたことは覚えていられる。
この広告に限らず、身の回りの広告について、紙面の全ての要素を覚えている人はいないでしょう。覚えているのは、あの広告赤かったなーとか、動物が変なポーズしてたなとか、モデルの子が綺麗だったとか、一番目立つ一点のみなのではないでしょうか。
このように、紙面の中で、最も印象深いものだけが人の記憶に残るものだと思います。
記憶をコントロールする
デザイナーが神経をとがらせてやった細部のデザインは、人の記憶の中では忘れられるものだと思います。もちろん、デザインされたそのもの自体を見ている瞬間は、細部の精度の高さから感じるものはあり、ディテールを詰めることが大事なのは言うまでもないでのですが。
人に記憶させるには、そのディテールの土台となるベースの部分をどうすればいいのかを考えなければいけないはずです。
そう思うと、自分の作っているものは、見た人が何と思って記憶するのだろうか?そもそも記憶されやすく作っているのだろうか?このことを常に確認しながら、制作することが大事だと思います。